真夜中02:「ルールはこっそりやぶるもの」
お盆の大型連休である。
僕の職場もありがたいことに、8月11日から8月20日まで9連休だ。
しかし僕は今週ずっと、ほとんど人のいない会社に出社している。
9月のシルバーウィークで9連休とる方を選んだため、特に仕事もなくモチベーションも最低なものの「形だけ出社」でお茶を濁しているのだ。
考えようによっては、気持ち的にもほぼ休みみたいなものだし、大型連休を2回取れるともいえなくない。
ちなみに初日のタイムテーブルはこのようなもの。
3時間仕事する。
3時間満喫で「ダイの大冒険」読む。
2時間会社の仮眠室で「ドラクエ11」やる。
もはや席にもいなかった。
翌日からは考えを改め、イラレやフォトショのスキルアップをしたり業務関連の書籍を読んだり、なんとか「仕事」につながるようにはしている。
さて、ここで思うのが、本来であれば今は「会社指定の夏季休暇」であり、休暇取得期間をずらした僕以外は「休日」であるということ。
つまりは僕のデスク以外は誰もいなくて電気すら点いていないという状況であって然るべきなのだということ。
なのにいるんだ。中途半端なオフィスカジュアルで無許可の休日出勤してる人間が。
ここで僕の勤めている会社の勤怠制度(就業規定)の簡単な制度を説明すると、
・完全週休二日制(土日祝)
・休日出勤は原則禁止、業務上やむを得ない場合は事前に上長に申請し、許諾を受けた時のみ可能。その場合は代休取得が必須
・22時以降の残業についても原則禁止。やむを得ない場合は上記同様
・勤怠時間は自己申告制のWEBタイムカードで管理
ざっくりこんな感じで、当たり前の話
「タイムカードでしっかり勤怠管理して、無許可の休日出勤や深夜労働や残業は禁止です」
ということ。これはまじルールであって、守られて当たり前のきまりなのだが、無許可で休日出勤してる人間がフツーに何人かいるという状況が恒常化しているわけで、つまり機能していなく制度そのものが破綻しているということになる。
「仕事熱心なのはイイことだ」
という人もいるかもしれない。けど考えてみてほしい、ルールで
「ここからここまでの決められた時間で頑張りましょう」
と決められていることに対し、決められていない時間をこっそり使って進行するというのは、ズルであり卑怯な行為なのではないだろうか。
テスト時間が終わり回収されるテスト用紙。あとから先生の机まで行って、回収された束からこっそり自分の用紙だけ探して回答を足したら「不正行為」であり、推奨されない行為であることは子どもでも分かる。
サービス残業サービス出勤とは、それに準ずる行為なのではと常々思うのだ。
また、一部の人間がそうやってズルをしてボリュームをこなすことにより、ボリュームの前例が出来上がってしまう。まともにルールを守っていては到底達成できないその量を、ルールを守ってきちんと働いている多くの人間も目指さなくてはならなくなる。
こうやって個人に振り分けられる仕事量はどんどん増えていき、結果弊社のようなサービス残業サービス出勤する人間が恒常的にいる環境が形成されていく。
そういう人間は、ズルをしているんだから低評価なのが理想なのだが、会社からすれば数こなしているから高評化となる。
ルールを守っている人間が低評価で、ズルをしてる人間が高評価。社会って本当理不尽で意味が分からないものだ。
先日、月間MVP(月に1人選ばれ1万円もらえる)を取った同僚と話した。
なんか、あんまり嬉しそうじゃないから「なんで?どうしたの?」と聞いたら、
「2か月くらい自分の時間全然なかった。月に、タイムカード切ってるだけでも時間外労働80時間超えてるし、ちゃんと切れば絶対120時間は超えてた。土日に会社に泊まってほぼ徹夜だったり、日月火と三日徹夜したときは気が狂うかと本気で思った。家に帰っても持ち帰りの仕事やってるし、何回かホントに死のうかと思ったときもあった。過労自殺する人の気持ちわかったよ。これだけやってMVPで1万円よりか、普通に残業代もらった方が全然いいでしょ」
という答えが返ってきた。「就業規定」とは?
中には好きでやってるんじゃない人間も、当然ながらいるわけで(じゃあやるなよとも思ったが)。
けど、こういう人が前例を作る事で、過去実績ベースでの業務配分としてその呪いは次の人に引き継がれていくのだ。
僕はもう、この手の働き方は絶対にしないと心に決めている。
できないものはできないし、サービス残業やサービス出勤しなきゃ達成できない業務なら未達成で全然かまわない。「やりがい」とかいらないから労働基準法を守る場所で働きたい。
...と、思いながらも彼と同じ職場にいるということは、いつか自分にも呪いのお鉢が回ってくるかもしれないということだ。
今年の夏は、今日で17日連続で雨。なんとなく気持ちも重く、そうこうしてるうちに8月も半ばを過ぎた。浮かれた話の一つもないものかと、とりあえず受動的な期待を寄せてみる。